2025年1月6日(月) : (目隠し請求権)隣から突然、窓に目隠しを要求されたらどうする?
- (2025年9月6日(土) 午後2時16分58秒 更新)
【目隠し請求権】隣から突然、窓に目隠しを要求されたらどうする?
【目隠し請求権】隣から突然、窓に目隠しを要求されたらどうする?
突然、隣家から「窓に目隠しをつけてほしい」と言われたら、あなたならどうしますか?
実は、民法第235条に基づき、一定の条件を満たす場合、境界から1m未満にある窓について、隣家には目隠しを要求する権利があります。
1. 民法第235条とは?
第235条(境界線付近の建築の制限)境界線から1メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。
第236条(慣習の尊重)前二条の規定に異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
つまり、以下の要件をすべて満たす場合、目隠しの設置が法律で義務付けられているということです:
✅ 境界線から1メートル未満の距離にある✅ 他人の宅地を見通すことができる窓・縁側・ベランダである✅ その窓等を設置する者に義務が生じる
2. 目隠し義務が発生する条件
距離の要件
- 境界線から窓等の最も近い部分まで1メートル未満であること
- 測定は水平距離で行います
「見通すことができる」の判断
判例によると、「特に意識して見ようとしなければ見えない程度」では目隠し義務は発生しません。
- 日常生活で自然に他人の宅地が見える状態である必要があります
- 覗き込まないと見えない場合は対象外とされることが多いです
設置義務者
窓等を設置する者に目隠し義務が発生します。
- 建築時期の先後は直接の要件ではありません
- ただし、実際の紛争解決では建築時期も考慮されることがあります
3. 目隠し請求を受けたらどうする?
隣家から「目隠しをつけてほしい」と言われた場合の対応手順:
①距離を正確に測定する
- 境界線から窓等の最も近い部分まで測定
- 1メートル以上離れている場合、法的義務はありません
②「見通し」の状況を客観的に判断する
- 窓から隣地がどの程度見えるかを確認
- 目線の高さや角度も考慮
③地域の慣習や条例を確認する
- 民法236条により、地域の慣習が法律に優先することがあります
- 自治体の建築指導課等に相談することも有効
④隣家との話し合い
- 法的要件を満たさない場合でも、円満な解決を図る
- 必要に応じて、お互いの合意で解決策を模索
⑤専門家への相談
- 建築士、弁護士、土地家屋調査士等への相談を検討
- 自治体の無料相談窓口の活用
4. 建築前の注意点
新築・増築時の配慮事項
✅ 設計段階で窓の位置と境界線からの距離を慎重に検討✅ 隣地の状況を事前に確認し、見通しの可能性を把握✅ 地域の慣習や条例を建築士と共に確認✅ 可能であれば隣地所有者との事前相談
5. まとめ:適切な対応で円満解決を
✅ 境界から1m未満かつ他人の宅地を見通せる窓には目隠し義務の可能性✅ ただし「見通し」の程度や地域慣習による例外もある✅ 要求を受けたら距離測定と客観的判断から始める✅ 法的要件を満たさなくても、近隣関係を重視した話し合いが重要✅ 建築前の事前確認と配慮がトラブル防止の鍵
近隣トラブルを避けるためには、法的知識を持ちつつ、お互いを思いやる気持ちでの対話が最も重要です。法的義務の有無に関わらず、良好な近隣関係の維持を心がけましょう。